徒然

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いつか本物に

 

嘘も吐き続けていれば、本物になる。

 

これは嘘だ。

いつか本物になる日が来るかもしれないだけだ。その日を迎えるためには、それ相応の覚悟を持って嘘を吐かなければならない。ましてや、本物にする為には努力が当然であるが必須となる。

 

さて、ここで人を騙すための自論を展開しよう。

人を騙す為に必要なものは環境と知識、そして継続性だ。

まず大前提として嘘をまかり通すためには、本物がいない所に行く事は必ずしなければならない。本物がいると直ぐに自分は偽物とバレてしまうため、その様な人間が揃っている場所は必ず避けなければならない。

 

例えばだが、Twitterや配信アプリ等に蔓延るメンヘラ女子どもは必要以上に女子とは関係を作らない。これは、メンヘラ女子でいるためには自分が圧倒的に可哀想でなければならないからだ。彼女らは可哀想なお姫様になれる環境を常に作って生きながらえているのだ。

これは自分の魅力を可哀想な部分であると履き違えてしまった、或いは苦労から脱する事にしか努力のリソースを割いてこれなかった人間が陥る錯覚だ。

このお姫様には経済的且つ政治的に国家を支える家臣及び住人が必要となる。つまりフォロワーやリスナーがメンヘラ女子に貢いで、配信やTwitterを生き延びさせるためにコメントや絡みに行かなければならないと言うことだ。

しかし、この家臣や住人も頭を持った人間だ。視界にお姫様しかいないという訳ではない。段々とこのお姫様は確かに可哀想だと言わせる所以はあるけれども、もっと苦労をしている子、つまりは"本物"はいると気付き始める。

家臣や住人達は弱い女の子を守ってあげたいという男の子の使命を果たすために、お姫様に仕えている。ならばその真実に気づき始めると、より"ヤバそう"な国へ移住をし始める。

すると、お姫様はどうするか。

より可哀想に、よりヤバくならなければならい。自分の武器は可哀想である事としているため、その武器を磨くしかないのだ。そうして"本物"になろうとする。

こうしてお姫様達は国家を作り上げている。

 

最も、可哀想であるための材料は次第に尽きるものだ。人間は普通に生きていれば案外幸せになれるのだから。

では、どうすれば可哀想を演じ続けられるか?

 

そのために必要な物、それは知識だ。

本物に備わっているものを知る事、そしてそれが断片だけを切り取ったような物では、すぐに仮面が崩れる。だから本物のお勉強をする。

あちらこちらから可哀想なお姫様を構成する材料を資源を集め出す。

そうして知識を蓄えたお姫様はより本物らしくなっていく。より可哀想に見せる事が、嘘をつく事が上手になっていく。

 

だが、お姫様がどれだけ手を尽くして可哀想になっていっても到底本物にはなれない。魔法は長続きしない。

段々と家臣や住民は目を覚まし始める。「この子は本当は自立が出来ないお姫様ではなく、自立をする気がないだけの女の子なんだ」と。

家臣達は、俺たちが国を支えているからお姫様が"何とか"今日も生きているのだと信じてきていたが、本当はそれこそが国家を存続させる策略だったと気付き始める。

すればどうだろうか?策にかけられた家臣達は"騙された"と思い出す。そして、家臣達は新たなお姫様を探しに出る。

お姫様は家臣達が住処を他所に見つけ出そうとしている事に焦りを覚える、しかしもうお姫様にはこれ以上不幸になる材料は残っていない。

 

お姫様はそこで気付く、"ずっと可哀想でいなければならない"と。

 

ずっと可哀想でいるために、ずっと嘘を吐き続けるためには何が必要か。

多少はリアルを混ぜ、らしく見せる事だ。可哀想であればあるほど、自分の中の可哀想の価値は上がるが、それを保ち続ける事は困難だ。

だから、続きやすい程よい嘘を吐き続けることが周りの魔法を解けさせない1番の手立てとなる。これが、冒頭に告げた継続性だ。

 

 

お姫様よ、

こんな事を続けている君はいつしか本物になってしまった。憧れを手にした気分はどうだ。

でもキリがないだろう?世の中に不幸な奴はごまんといる。

君らが本当に抱くべき憧れは、素直さだ。

素直に自分が可哀想だった、可愛い、辛かった、嬉しかった、悲しかった、腹が立った、憎かった、羨ましかった、など色んな感情を受け止め、そして人の感情も受け止め、自分も受け止められる。

すると、やっと本物のお姫様になれる。

いつかきっと。