君へは、なんて書こうかな。彼にはなんて書こうかな。貰ったら困るかな。
便箋と封筒はその人に似合ったものが良い。
幼馴染には淡い桃色を、だっていつも黒が良いとか黒が好きとか言ってるけど、本当はすっごい可愛いから。
親友には白色を、なんとなく純白が似合うと思うんだ。ドレスはふわふわのが似合うと思う。見たかったな。
もう1人の親友には、オレンジ色を。誰よりも誇り高き燃え盛る女だからね。
他には誰に書こうかな、
そうだ彼にも書いておこう。要らなかったら読まないでも良いよ。でも私が書きたいんだ。
あとは、
両親かな。血が繋がっていなくても、愛されていない過去ばかりを思い出しても両親だと思うから。
父にはきっと感謝ばかり書くと思う、嫌な時の気持ちは全部全部私の墓に埋めるんだ。本当に感謝ばかりしてるから、もう墓に持って行くって決めたんだ。
母には、なんて書こう。
母は、私から最後の手紙を貰ったらなんて反応をするかな。泣くのかな、それとも気が動転するかな、後悔するかな。なんでもいいや。何を書いてやろうか、これまでの感謝はあまり書けない。憎しみか、哀れみか、恨みか、辛みか、怒りか、何を書こうか。
全員に書き終わって、封筒を並べる。ひとつアイボリーの封筒が膨らんでいる。
皮肉なものだ、どんな感謝よりもどんな感動よりも、怒りと憎しみの方が厚みがある。この厚みが私の30年なのか。哀れなものだ。